「人形は口ほどにものを言い」,赤川次郎
人形とは文楽人形のことで,文楽についての分かりやすいエッセイという趣旨で書かれた本。
文楽への批判,批評というのは歌舞伎などに比べてもかなり少ないため,こういった一般向けエッセイは価値があるように思う。
赤川次郎は古典芸能や現代演劇やオペラの知識もかなりあるらしく,それらと文楽との比較をしつつ,文楽のおもしろさを伝えようとしている。ただ文章が読みにくいんだよね。すらすらと読めなくて,文章が一文ずつぶちぶち切れている感じ。
でも,内容は意外なほどまっとうで辛口。文楽について「素人」で「批評で食べている」わけではないということで,「この公演では義太夫の声がまったく出ておらず途中で席を立ってしまった」なんて平気で書いているし,「ストーリーがあまりにも現代人に受け入れられないものは少し変更を加えるのもありじゃないか」みたいな,文楽の人たちからはまず出てこないような提案もしている。
作者の根底にあるのは,文楽を次世代に伝えていかなくてはならないという思いだろう。今は人間国宝である玉男さん,蓑助さんらのすばらしい芸で客を呼んでいるところがある。でも彼らが舞台に立てるのはあと数年(玉男さんはもう85才じゃなかったかな)。その間に若い技芸員達を育て,また観客をも育てていかないといけない。
と書いている私も去年の夏以来見に行ってないんだよなー。4月公演は行こうかな。「義経千本桜」です。
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